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NAS電池考察

 循環型エネルギーは不安定であると言う話を前回書いたが、その不安定な電力を平準化するにはバッテリー=電池が有効である。その電池の四方や話。

 日本の電力事情は、昼間需要が大きく、夜間は少ない。原子力発電は簡単に発電を止めたり、再開したりが困難な仕組みである。原子力発電の割合の高くなりつつある日本は、夜間に需要の少ない電力を貯蓄して、昼間の必要な時に放出する方法を昔から取っていた。それが、揚水発電である。

 夜間の余剰電力を使い、下のダムから上のダムに揚水=ポンプで上げることをしていた。揚水した水を昼間の電力需要が高い時に放水して発電を行うと言うものである。これは位置エネルギーを使ったバッテリー=電池と言える。このバッテリーは昔から使われてきた。

 話は飛ぶが、NAS電池(ナスと読む、Na=ナトリューム、S=硫黄)の競合がこの揚水発電であった。東京電力が音頭を取ってNAS電池開発を後押ししたが、東京電力も数社抱える余力は無く、当初数社で開発をしのぎあったが最終的に残ったのがNGK=日本碍子=セラミックスメーカーである。現在、世界で唯一量産しているメーカーになる。

 NAS電池のコスト競争相手が揚水発電であったが、最近は風力発電だとか、太陽光発電を貯めて夜間に使う為のバッテリーとしての要求が多くなってきた。日本のように急峻な地形を持っている国・地域は少なく、揚水発電自体が成り立たつのは極めて珍しい。

 NAS電池は重電向けバッテリーとして有効で、リチュウムイオン電池とは立場が異なる。Na=ナトリューム金属は極めて活性が高く、水に反応して爆発を起こす。核燃料リサイクルの「もんじゅ」の事故もこのNa爆発であった。さらに、電解質にβーアルミナという特殊セラミックス(脆性材料)を使用する為に振動には弱い。従って、NAS電池はモビリティー=移動するバッテリーとしては不向きである。しかし、コスト、さらには安定性、寿命はリチュウムイオン電池に匹敵する。

 NGKと最後まで競ったのが日立製作所であった。途中でStopしてしまったが、NAS電池を作るには全自動(人の手が触れない)で作る必要もあり、総合エンジニア技術を持った会社しか現時点では参入は不可能。半導体のようにベンダー=装置メーカーが充実している産業であれば、ある程度の資金力と技術力があれば参入可能であるが、未発達のNAS電池参入はかなりハードルが高い。

 リチュームイオン電池に注目が集まっているが、このNAS電池も今後太陽光発電や風力発電などの循環型エネルギー事業が拡大すると、同期して拡大する可能性が高い。注目したい技術である。

 NGK以外にもう二つ三つ参入する企業が出ないと、産業としての発展、競争原理による拡大が阻害される可能性が高い。NEDOやJ-Powerなどの公的機関の大々的後押しで参入する企業があると面白くなるのだが、、、、。

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